2025.03.04vol.119歩行時における後ろの歩幅~高齢者の歩き方~
身体機能(関節可動域、下肢筋力、バランス機能)の低下により、高齢者は歩行時に歩幅が狭くなります。特に前屈姿勢の方は、長距離歩行時や段差がある場所で躓いて転倒することもあります。また、歩幅・歩行速度とバランス機能低下は関連性があり、高齢者では歩幅・歩行速度が低下してくると、転倒リスクは高くなることが示唆されています。
後ろの歩幅(TLA)について
近年、リハビリテーション分野で行う歩行分析時の歩幅について、後ろの歩幅(以下、TLA)という考え方があり、これは歩行の立脚後期における股関節伸展角度を表します。正常歩行時のTLAは最大20°といわれていますが、円背姿勢を呈する高齢者のTLAは減少することが報告(Michael D Lewek. 2019)されています。

TLAが減少した高齢者
また、TLAが小さい高齢者の股関節筋群の硬さをチェックしてみると、股関節伸展角度と関連する腸腰筋が硬い方が多く、歩行の立脚後期に骨盤が後傾しやすくなり、歩行速度が低下すると考えられます。
更に、先行研究では、速く歩けるほど記憶力は優れることが示されており(積山. 2014)、記憶力と歩行速度が同時に低下した方は認知症発症リスクが高まる傾向にあるようです。
タカハラ整形外科クリニックでは医師の指示のもと、理学療法士が歩行をチェックし、歩行改善プログラムの提案やセルフケアの指導も行っています。転倒予防も含めて、ご自身の歩行速度と後ろの歩幅を測定してみませんか?
気になる方は、当クリニック医師もしくは理学療法士へお気軽にご相談ください。
理学療法士が行うこと
- 歩行時の股関節伸展角度の計測(歩行時の後ろの歩幅)
- 整形外科的テスト(トーマステスト:腸腰筋の硬さのチェック)
- 歩行改善運動(腸腰筋ストレッチ、歩行時の骨盤前傾運動等)
期待される効果
- 歩行時の姿勢改善
- 歩幅・歩行速度の改善
- 転倒予防
- 認知症予防