2022.12.01vol.92リンパ浮腫の治療法『複合的理学療法』をご存知でしょうか?
リンパ浮腫とは
リンパの流れが滞ってリンパ液が皮下組織に溜まって四肢がむくんだ状態です。
発症すると、関節が曲げづらくなるなど日常生活に支障きたすこともあります。リンパ浮腫は重症化すると治りにくいため、予防と早期発見が大切です。
主な症状
- 腫れぼったい、重だるい感じがする
- 皮膚のしわがなくなる
- 血管が見えにくくなる
- 押したら跡が残る
- 皮膚が乾燥し固くなる
などが挙げられます。
リンパ浮腫の『複合的理学療法』
『複合的理学療法』は、リンパ浮腫に対する保存的な治療法として以下の1~4の4つの療法を個別の症状に応じて実施し、さらにセルフケア指導(A~D)をおこない奏功効果を生み出します。
- スキンケア
肌のバリア機能を高め、感染を予防します。
日常生活で皮膚を清潔に保ち保湿を心がけることがポイントです。 - 用手的リンパドレナージ
たまったリンパ液を専門的なマッサージ技術により、健康なリンパ管へ誘導・排液し、むくみを改善させます。 - 圧迫療法
弾性着衣、弾性包帯での圧迫により、用手的リンパドレナージによって改善された状態を維持し、リンパ液の再貯留を防ぎ、更なるリンパ液の排出を促します。 - 圧迫下での運動療法
弾性着衣、弾性包帯を着用し、患肢を圧迫した状態で、筋ポンプ作用を活かした運動により、静脈やリンパの流れを効果的に促進します。
日常生活で気をつけること
- 体重管理
体重が増加することでリンパ管を圧迫してしまい、リンパ液の流れを悪くしてしまいます。適正体重を保つようにしましょう。 - 適度な運動
運動することにより、筋肉がポンプの働きをしてリンパ液の流れを促す効果があります。しかし、激しいスポーツは負担になってしまうため注意しましょう。 - 衣類
下着や靴下などは、できるだけ締め付けのないものを選びましょう。 - 患部の管理(患肢挙上)
長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしは避けましょう。就寝時、むくみや重だるさを感じる場合は、バスタオルなどで手や足を高くして休めてください。
※『複合的理学療法』はヨーロッパで確立され、1995年より国際リンパ学会において標準治療として認められ、日本では1990年代後半より徐々に普及しはじめ全国的に広がりをみせています。