タカハラ整形外科クリニック

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スタッフコラム

2021.08.02vol.76女性アスリートの障害予防~女性アスリートの三主徴をご存知ですか?

女性アスリートの障害予防~女性アスリートの三主徴をご存知ですか?

女性アスリートの三主徴とは?

女性の健康管理上の問題として、「Low energy availability (利用可能エネルギー不足)」「無月経」「骨粗鬆症」のことを女性アスリートの三主徴と言います。
体重が軽いことが有利とされている審美系の競技(器械体操・新体操)や陸上の長距離競技などで起こりやすく、継続的な激しい運動トレーニングが誘引となり、それぞれの発症が相互に関連し女性アスリートにとって重要な問題となります。

女性アスリートの障害予防~女性アスリートの三主徴
(1) Low energy availability (利用可能エネルギー不足)とは?

energy availability(利用可能エネルギー)=エネルギー摂取量ー運動によるエネルギー消費量
運動量に対して、食事などの摂取エネルギー量が不足した状態をLow energy availabilityといい、不足した状態が続くと、卵巣を刺激する脳からのホルモン分泌(黄体形成ホルモンなど)が低下したり、骨代謝などを含む身体諸機能に影響をきたします。

(2) 運動性無月経とは?

これまであった月経が3ヶ月以上停止した状態である「無月経」のうち、運動が原因と考えられるものを指します。
発現機転として、(1)精神的・身体的ストレス(2)体重・体脂肪減少(3)ホルモン環境変化が挙げられており、続発性を呈している場合、ホルモン分泌低下・骨密度減少の為、疲労骨折を起こす可能性が高くなります。
そして、無月経が1年以上続くと、回復しにくくなり、若年性閉経、妊娠分娩能力低下、将来的に循環器系疾患のリスク増加を起こす可能性もあります。

また、姿勢や骨盤周囲のアライメントが変化することで理想的な筋収縮が行われないこと、骨盤内のうっ血が原因で月経痛の増強・不順が起こるとされています。
そのため、姿勢に関係する体幹筋や子宮を支えている骨盤底筋等のトレーニングが必要となります。(Vol.16「骨盤底筋群ご存知ですか?」をご参照ください)
※3ヶ月以上の月経不順がある場合は産婦人科の受診をお勧めします。

(3) 骨粗鬆症とは?

骨粗鬆症とは、骨量が減少して、骨組織の微細構造の変化も加るため、骨がもろくなり骨折しや すくなった状態です。
一般には、閉経後骨粗鬆症や老人性骨粗鬆症などが良く知られていますが、若い女性でも、無月経になることで骨量が減少し、疲労骨折が発症する危険性が高まります。卵巣から分泌される女性ホルモンの、エストロゲンは骨代謝に深く関与している為、無月経が続くとエストロゲンが低い状態になり、骨量の低下が進行します(vol.51「骨粗鬆症の運動療法」をご参照ください)。

理学療法士が行うこと
  • 姿勢、アライメント評価
  • 関節可動性や筋力の評価
  • セルフケアや、コンディショニングの指導
  • 骨盤底筋トレーニング

思春期における激しい運動トレーニングおよび極端な体重制限などは、初経発来の遅延や無月経、 骨密度の低下などを引き起こし、女性アスリートの身体の正常な発育・発達を妨げる可能性が高いと考えられます。したがって、成長期のアスリートのトレーニングに関わる指導者は、トレーニング強度・頻度などの調整や体重コントロールに留意していくことが必要となります。

また、日常的な食生活においては、バランスのとれた食事や、運動によるエネルギー消費量に見合ったエネルギー摂取量の維持を心がけるなど、家族や周囲のサポートが必要となります(vol.5「スポーツ前後のコンディショニング」38「スポーツにおける身体のケア」53「スポーツ活動後のコンディショニング」をご参照ください)。